北海道札幌市でグラフィックデザイナーとして活動する川尻竜一さん。
PACTORYプロジェクトでは、紙を折ったり曲げたりする「紙工」のイメージから着想したロゴデザインをはじめ、世界観の構築、サービスの方向性に至るまで取り組んでいただきました。
そんな川尻さんに、紙パッケージをつくるコツを伺いました。
デザインは見た目だけ?実はすごい、素材や印刷方法のこだわり。
グラフィックデザインというと、絵柄や文字の表現につい目が行きがちですが、どんな素材に、どんな方法で印刷されているのかも注目のポイントです。特に紙パッケージは立体物として手に取るものなので、紙の厚みや手触り、色味などにもしっかりこだわりたいですね。これは商品のイメージをつくる大切な部分になると思います。例えば、このカセットテープ* の紙パッケージでは、中身の色と合わせたシルバーの特殊な印刷が映える紙を選びました。
* ヘッドフォンやイヤホンで鑑賞すると音が立体的に聞こえるバイノーラル録音により収録された立体音響作品のため、その音像のイメージを感覚的にパッケージデザインにも漂わせたい!そのためには多くの印字面が必要だ!ということから、従来型のプラケースを使用せずオリジナル設計の紙箱という仕様を採用。
考えれば考えるほど、良いものになる。
紙パッケージをつくるにはあれこれと考えることも多く大変ですが、せっかくの機会と思ってぜひ楽しみながら向き合ってみてほしいです。どんな風に見えるだろうかとイメージしながら、紙を選び、ロゴの配置などレイアウトを検討し、機能やコスト、使用感まで考えます。考えれば考えるほど、そのこだわりがオリジナリティになっていくはずです。制作には時間も費用もかかりますが、良いものをつくろうと悩み考えたその積み重ねがそのまま商品のストーリーにもなるかもしれません。紙パッケージが完成した後にその道のりを話していて楽しいと思えるのは、すごく良いものになったという手応えのようにも感じています。
相談を重ねて、良い紙パッケージをつくる
紙パッケージは、基本的には保護や輸送など機能を担うものなので、中身と用途によって自然とおおよその形が決まっていきます。決まりごとが多い印象もありますが、一見無理かな?と思うことでも気軽に相談できるのがPACTORYの梅田さんのいいところ。もし実現ができなくても、リクエストの芯をとらえて別の提案をしてくれることも。楽しみながら相談して、学びながら良いものを目指す、それが良い紙パッケージをつくるコツかもしれませんね。
「箱」という制限を超えた、PACTORYの利用も。
紙パッケージをつくる知識や技術は、「箱」という制限で考えずに応用した形をつくりだすこともできます。僕自身は過去に「花器」や「トロフィー」という紙製プロダクトを制作し、普通は紙でつくることを想像しないものへの応用を楽しんでいます。商品パッケージという目的に限らず、自由なクリエイティビティを発揮するために、PACTORYを利用することも面白いと思います。
好きな紙:「OK ACカード」
グリーンは「草」、ブルーは「空」、サーモンピンクは「鮭」などと表現される色のラインナップが絶妙に自分好みです。